離農を考えている人にとって、農地転用の手続きや農機具の処分は気になる問題ではないでしょうか。
離農する前に最新情報をリサーチしておくことで手続きがスムーズになったり、農機具をお得に処分できたりする可能性があります。
この記事では、農地転用や農地を貸すことで得られる協力金について説明するとともに、農機具の処分方法について詳しく解説します。
離農とは、今まで家業としてきた農業を廃業したり、農業に従事していた人が農業をやめて他の職に就いたりすることです。
「農林水産省」の「2020年農林業センサス」によると、農業従事者は2015年から2020年の5年間で約45.7万人減少して約152万人、うち自営農業に従事している「基幹的農業従事者」は約39.4万人減少して約136.3万人というデータがあります。
参照元:農林水産省|農業従事者数について
農業従事者が離農を選択する理由はどこにあるのでしょうか。ここでは、離農の原因について解説します。
離農の最も大きな原因は、基幹的農業従事者の高齢化に伴うリタイアです。
2015年時点で65歳以上の基幹的農業従事者が約114万人だったのに対し、2020年の65歳以上は約94.9万人と約19.1万人も減少しています。
また、2020年の基幹的農業従事者の年齢割合は、65歳以上が69.6%、49歳以下が10.8%でした。今後も高齢化に伴う離農は増えていくと予測されます。
基幹的農業従事者の子供や身内に後継者候補がおらず、経営の継承が難しいことから離農するケースもあります。
「農林水産省」の「農業経営の継承に関する意識・意向調査結果」によると、経営を継承すると回答した割合が50.1%と最も高かったものの、経営の継承を「決めていない」が34.6%、「何も継承しない」が7.8%でした。
また、経営を継承すると回答した人のうち「後継者が決まっている」と回答した割合は40.1%、「後継者は決まっていない」と回答した割合は9.9%でした。
参照元:農林水産省|農業経営の継承に関する意識・意向調査結果
家族以外の第三者に経営を継承する「第三者農業経営継承」という選択肢もありますが、2020年の新規就農者数は5万3,740人と5年連続で減少しており、後継者が見つからないことによる離農は増えていくことが予測されます。
新規就農者の3割は、生活が安定しないなどの理由で5年以内に離農しているというデータがあります。
「全国新規就農相談センター」の「新規就農者の就農実態に関する調査結果」によると、就農3〜4年の新規参入者のうち、農業所得で生計が成り立っているのは24.9%、就農5年以上であっても48.1%と半数以下でした。
政府は新規就農者の定着に向けて、あらゆる施策や取り組みを実施していますが、課題解決には至っていません。
農家が離農すること自体に手続きは発生しません。しかし、農地を農地以外に活用したり、協力金を受け取るためには届け出を提出したりする必要があります。
ここでは、離農する際に発生する手続きについて解説します。
離農して農地を農地以外に使用するときは、「農地法」第4条第1項、第5条第1項に基づき「許可申請書」を自治体に提出しなければなりません。
登記地目が農地でなくても、現に耕作されている農地であれば対象です。
なぜ届け出が必要かというと、日本は耕作面積が少ないため、食料自給率の低さから食料を生産する農地を積極的に守っていく必要があるからです。
そのため、農地を住宅や駐車場に用途変更する場合はもちろん、一時的に仮設事務所や残土処理に使用する際も農地転用の手続きが必要です。
もし許可なく転用すれば「農地法」違反となり、工事の中止や原状回復を求められます。命令に従わない場合は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金といった罰則が科せられます。
すべての農地を農地転用できるとは限りません。例えば「農業振興地域内農用地区域内農地(以下、農振地域)」にある土地は、整備に関する法律によって農地転用が認められていません。
農振地域は別名青地とも呼ばれ、自治体が農地利用を確保するため、農地以外の利用を厳しく制限しているのです。
ただ、自治体に「農業振興地域整備計画の変更手続き(農振除外)」を申し出て、農振地域からの除外が認められれば、農地転用の手続きができるようになります。
このほか、市街化が抑制されている「市街化調整区域」においても都道府県知事の許可が必要です。
「経営転換協力金」とは、離農するときに、農地を「農地中間管理機構(農地バンク)」に貸し付けると交付される給付金です。
過去には離農給付金とも呼ばれていました。交付は以下のいずれかの方が対象です。
また、以下のすべての要件を満たす必要があります。
本制度は2023年まで施行され、交付単価は10aあたり1万円、上限額は1戸あたり25万円です。詳細に関しては、各都道府県を担当する地方農政局等へお問い合わせください。
参照元:農林水産省|機構集積協力金の概要
離農することによって、発生する問題について解説します。
離農すると、使わなくなった農機具の扱いに困るケースが多いです。
離農した高齢の両親がトラクターやコンバインをそのまま放置していたり、農地転用で敷地が狭くなったりして、農機具が置けなくなるなどの問題が発生します。
農機具の処分を考えていたとしても、実際に処分するまでは屋根とシャッターの付いた倉庫やガレージで保管するのがベストです。
外にそのまま放置していると故障や錆が発生して、その後の処分に余計手間取るといったリスクもあります。
新規就農者の場合、施設や農機具のローンが残ったまま離農するケースも少なくありません。
「全国新規就農相談センター」の平成28年度新規就農者の就農実態調査によると、土地取得を除いた初期費用の平均は569万円、農機具を新品で買いそろえると、数百万円から1,000万円を超えることもあります。これに加えて収穫して収入を得るまでの生活費も必要です。
国と自治体は新規就農者の課題である資金面をサポートするため、令和4年度から設備投資資金の融資額を最大1,000万円として国と都道府県が4分の3を支援し、返済期間は自由に設定できるという制度をスタートさせる予定です。
さらに、公庫への返済分とは別に、使い道が限定されない交付金を毎月最大13万円、3年間支給しています。
しかし、この制度は離農してしまうと補助制度から外れてしまうため、購入した農機具などのローン返済に追われてしまうリスクがあるのです。
天候不順による農作物の被害や、価格の暴落などは予測できません。膨れ上がった借金が理由で離農する方もいます。
離農して耕作しなくなった土地をそのままにしておくと、農地が「遊休地」や「耕作放棄地」とみなされてしまい、固定資産税が上がってしまいます。
早めに農地転用の手続きをして今後のプランを見直すか、経営転換協力金の申請を検討しましょう。
離農を考えている人にとって、今後使わなくなる農機具をどうするかは悩ましい問題です。
そのまま保管しておくにはスペースや定期的なメンテナンスが必要となるため、離農のタイミングで手放すのがよいです。農機具の処分方法にはさまざまな選択肢があります。
農機具専門の買取業者に買取査定依頼をして、買取が成立すれば農機具を現金化できます。
買取業者は、農家から買い取った農機具を再販したり、国内や海外の販売ルート活用によって利益を得たりしているため、相場に見合った買取価格を期待できるのです。
また、場合によっては動かなくなった農機具であっても買い取ってもらえます。
ちなみに、なぜ壊れている農機具を買い取れるのかというと、農機具などのパーツを中古市場に流通させられるからです。
農機具を現金化できれば新しい生活の資金に充てられ、過剰な生産や消費抑制に貢献できます。
地域の不用品買取業者に農機具処分を依頼した場合、農家側(依頼者)がお金を払います。
農機具はエンジンやバッテリーなどを搭載しているため、「適正処理困難物」に指定されています。粗大ごみとして自治体に処分を依頼することはできません。小型の耕うん機や掘削機なども同様です。
不用品回収業者に支払う項目の内訳は、出張料や処分料金、解体が必要な場合はオプション料金などです。
通常、不用品買取業者は自治体の許可を受けて営業していますが、中には無許可の業者も存在します。
トラブルにならないよう、事前に見積もりを取ったり、出張料や代行料などの詳細を調べたりしてから問い合わせましょう。
近年、農機具の中古市場は拡大しており、ネット上での出品数も増えています。出品者の多くは農機具の販売業者ですが、中には個人で出品している方も存在します。
ネットオークションやフリマアプリは直接取引になるため、農機具のメンテナンスや動作確認、保証書の内容説明など、すべて出品者が行わなければなりません。
また、ネットオークションやフリマアプリの会員登録を済ませたあと、商品情報や送料の価格を入力し、落札者に自ら発送するなどの手間は避けられません。
状態が良くニーズのある機種であれば、すぐに落札されたり、高額で売れたりすることも期待できますが、その逆もあり得ます。送料や手数料(8~10%)などは十分考慮して価格を決定する必要があります。
農協によって、農機具の中古品買取を実施しています。問い合わせをすると担当者が査定に来て、買取の可否や価格を提示してもらえます。価格は農機具専門の買取業者に比べ、やや低くなる傾向があるようです。
理由は販売ルートにあります。農協の中古販売サイトは国内がターゲットであり、出品数も少なめです。保管しておく倉庫にも限りがあるため、需要のない商品は安く買い取るしかありません。
中古の農機具は資産です。高く売って新しい生活資金を増やすために、役立つ情報を紹介します。
買取業者などに査定を依頼するとき、詳細情報を事前に調べておくとその後の取引がスムーズです。
メンテナンス履歴や点検・整備などの情報は、買取価格をアップする判断材料です。
また、詳細情報がわからなくても概算で査定することは可能です。ただ、車両番号が消されていたり、わからなかったりすると取引を続行できない可能性があります。
トラクター・コンバイン・耕うん機などの農耕作業用自動車は年間1,200円の軽自動車税が課されるため、離農するときにナンバー登録を解除する必要があります。
登録したままだといつまでも税金がかかってしまうため、注意しましょう。登録を解除するには、ナンバープレートと印鑑を自治体の税務課などに持っていく必要があります。
ナンバープレートを外すときは、プラスドライバーとマイナスドライバーがあるとスムーズです。ナンバープレートの封印(アルミ製のキャップ)の外側の溝にマイナスドライバーを差し込んで封印をめくります。
次に、封印の外側よりやや内側にマイナスドライバーを当てて突き破り、ドライバーを強く押し込んだあとにボルトを回すと取り外せます。
泥や汚れを落としてきれいにしておくと、査定金額アップにつながります。アワーメーターや車台番号が読み取れるかなども確認しておきましょう。
日本の農機具は性能が優れており、修理も容易なため、壊れていたとしても基本的に買取はできます。ただ、中古市場で流通しているのは15年未満の農機具であり、15年を超える農機具は海外で取引されます。
主要パーツの修理が難しいと、稀に買取できない場合もありますが、あきらめずに査定を依頼してみましょう。
農機具の価格は、状態や型式、売却する季節などによって上下しますが、特定メーカーの商品は高値になりやすい傾向があります。
ここでは、比較的高価買取を期待できるメーカー4社をご紹介します。
「クボタ」は農機具国内シェアトップのメーカーであり、トラクター・コンバイン・田植え機のシェアが圧倒的です。
中古市場ではトラクターのL1シリーズやGLシリーズなど人気が高い種類もあり、小型、中型、大型など種類を問わず幅広い農機具がラインナップしています。
「ヤンマー」のシェアはクボタに続いて第2位です。操作性の高さと故障の少なさが評価されています。
ただ、頑丈ゆえに価格が高く、正規ディーラーや大規模な整備工場でしかメンテナンスできない点はデメリットといえます。品質は「クボタ」にも勝るという声も多く、根強いファンの多いメーカーです。
「イセキ」は1926年から続く老舗の農業機械専業メーカーであり、「クボタ」「ヤンマー」に次いでNo.3のシェアを獲得しています。
安価でメンテナンスしやすい点が人気の理由です。「クボタ」と「ヤンマー」に比べ価格は下がりますが、安く中古品を手に入れたいユーザーには大いに需要があります。
付き合いの長い地元の農協に相談する選択肢もありますが、高く売りたいなら、中古の農機具の買取を専門に行っている「農機具高く売れるドットコム」をおすすめします。
型式が古くても、故障して動かない場合であっても買取できるケースがあります。
取り扱う商品はトラクターやコンバイン、田植機などの大型サイズから、除雪機、種まき機、小型ショベル、噴射器など多岐にわたります。
自宅にある農機具がどのくらいの価格になるのかは、「農機具高く売れるドットコム」の申し込みフォームに必要事項を入力するか、フリーダイヤルで問い合わせするだけです。
問い合わせ後は担当者が必要情報をヒアリングし、メールや電話で査定を開始します。おおよその評価額を提示して取引が決定すれば、後日、農機具のチェックと回収のためにバイヤーが自宅に訪れます。査定や出張費用は一切かかりません。
自宅に放置されている農機具があるなら、それらはすべて価値のあるものです。農機具を査定してもらい現金化することで、離農の手続きもスムーズに進めます。
離農する場合、土地を農地以外に転用したり、農地バンクに貸し付けて給付金経営転換協力金交付をしてもらったりする、などの方法があります。
また、不要な農機具をなるべく早く処分することで現金化できます。ネットオークションなどで販売する方法もありますが、「農機具高く売れるドットコム」といった農機具専門の買取業者へ依頼すれば、多少古くても故障して動かなくなっていても買い取ってくれる可能性があります。
これからの生活資金に充てるためにも、さっそく査定してもらいましょう。
0120-559-587
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